商用車の運行記録データを活用して交通シミュレーション

昨年2月の福井での豪雪、7月の西日本豪雨など、近ごろ度重なる災害発生により、配送におけるBCP(ビジネス継続プラン)策定の必要性が高まっている。また今後、多くの物流・配送拠点がおかれている大都市圏では、物流交通を取り巻く環境の大きな変化が訪れる。

新東名高速道路など大動脈となる高速道路の延伸、環状道路の整備が進み、これらの変化を事前に予測することで、物流を焦点とした計画の支援に役立てられるという。富士通交通・道路データサービス(FTRD)と、アイ・トランスポート・ラボ(ITL)は、道路の新規開通や災害発生時の道路交通への影響を実験モデルで予測する「商用車交通シミュレーション」サービスの提供を開始する。

同サービスは、日本最大の商用車プローブデータ約17万台分(富士通製ネットワーク型デジタルタコグラフ。装置販売元トランストロン)と、ITLが開発した世界最先端の「広域道路網交通流シミュレーションモデル SOUND」を組み合わせて実現する。交通シミュレーションを用いた将来予測には、東京大学ITSセンターなどでの研究成果(参考PDF)を取り入れ、時間帯毎の交通量や渋滞状況の変化を再現する。

約17万台の商用車から収集された、量・質ともに充実した走行実績データを用いることで、より現実に近い形でのシミュレーションを行うことができ、都市計画分野の各種交通需要予測において多数の実績を持つシミュレーション技術を活用することで、信頼性の高いシミュレーションを提供する。

渋滞状況と通行料金、交通規制を考慮したドライバーの経路選択行動もモデル化していて、道路ネットワークの変化や交通規制の影響を見込んだ交通状況の変化を予測する。この度のしくみは、物流不動産向け情報サービス(FoXYZ)や輸送コスト適正化支援サービス(SoXYZ)をはじめとするFTRDが提供する商品の予測サービスとして提供していくとのことだ。