デジタル変革を加速するAI、融資稟議書作成業務へ

働き方改革や生産性向上が言われるなか、先進的なITを駆使してするデジタルトランスフォーメーション(DX)が、様々な業種業態で注目されている。けれども容易にDXできない業務プロセスもあり、一般にムダと思われがちな稟議書は、金融機関において非常に重要である。

融資判断で必要となるそれは、企業の業況や資金使途、返済根拠等が書かれた決裁文書。作成においては、融資案件の特性を踏まえて、過去の類似した案件を参考にする。膨大な量の稟議書の中から作成者の記憶などをもとに参考となる案件を探し出すため、個人の経験や技量の違いにより、多くの作成時間を要したり、記載内容にバラつきが発生することが課題になっていたという。

NTTデータは、AI技術「corevo®」を活用した金融機関の稟議書起案を支援するサービスを開始。3月4日より京都銀行の一部営業店で利用されると発表した、同サービスは、融資審査を行う際に必要となる稟議書の作成をサポートするものであり、これを利用することにより、作成者が参考となる過去の稟議書を素早く検索、活用することが可能となる。融資審査業務の効率化を実現できるという。

同社では、BeSTA FinTech Lab®を活用した銀行業務の課題把握やAI技術の適用対象の検討活動の中で稟議書作成業務に着目し、AI技術を適用することでどの程度効率化できるかを検証するため、'17年度に京都銀行と実証実験を行った。結果、作成者の意図を踏まえた高精度な類似案件の抽出により、参考となる稟議書を調査する時間を約50%削減可能であることが確認できた。

稟議書の早期作成および品質向上により、融資審査業務全体の生産性向上にも十分な効果が見込めることから同サービスの商用化に至ったという。NTTデータはさらなる文書作成時間の削減、品質向上等をめざし、AI技術の活用による文書のチェックや作成支援にも取り組んでいく構えだ。