関電、ドローンによる架空地線の自動追尾点検技術を試験導入

関西電力、東芝デジタルソリューションズ、アルプスアルパインの3社は、電力インフラにおける架空地線の点検を目的にしたドローンによる自動追尾点検技術を確立し、今後、関西電力の架空地線点検業務への本格導入を目指して、2019年3月に京都府内での点検工事で試験的に導入すると発表した。

これまで、電力インフラの点検では、落雷による架空地線のアーク痕などの設備損傷箇所を把握するために、架空地線上を自走させたカメラの撮影画像により、異常の有無を確認していた。山間部などのアクセスしにくい場所では、点検場所への移動等に時間を要するとともに、鉄塔に昇ったうえでのカメラの設置や自走後のカメラを反対側鉄塔にて回収する作業などが必要だった。

今回3社は、架空地線の点検業務へのドローンの本格的な現場導入に向け、実際の点検業務で想定される、径間約600メートルの長距離飛行や、鉄塔の高低差に起因する20度超の急勾配飛行などの様々な飛行条件、天候によって明るさが異なる状況や背景が山林や湖などの様々な撮影条件下で実証実験を実施した。

架空地線の位置を的確に把握するためのセンサーと機体制御技術を組み合わせることなどで、鉄塔径間の全域にわたり架空地線の鮮明な画像を取得することが可能となった。これにより、従来よりも架空地線点検の安全性が向上するとともに、効率化が図れるという。

関西電力は、京都府内での点検工事での試験導入の結果も踏まえ、引き続き、本格導入に向けた検討を進めるとともに、電力インフラの点検の効率化に向け、東芝デジタルソリューションズとAIを活用した画像解析による異常箇所の自動検出の実現を目指す。また、東芝デジタルソリューションズとアルプスアルパインは、今回開発した架空地線を自動追尾飛行・撮影するドローンシステムの営業活動を開始する。