自動運転の安全性を高めるネットワーク制御技術を実証

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」が普及しつつある。近ごろ移動体通信網、いわゆるモバイルネットワークでリアルタイムの通信制御を行う自動車、工場・倉庫内の搬送車、警備用ロボット、検査・宅配用ドローンなど、これら自動運転技術の開発が進められている。

安全が最重要である自動運転においては、見通しの効かない場所での人や物体との衝突を回避するため、複数の車や街頭カメラなど、IoTデバイス間で位置や画像などの情報を即座に共有して車両を制御しなければならない。が、既存のモバイルネットワークでは、基地局に接続するデバイスの数や通信データ量が増えて無線リソースが不足した際、車両制御に遅延が発生し、円滑・安全な自動運転が困難になるという。

NECは、モバイルネットワークでリアルタイム通信制御が求められるサービスの実現に向けて、緊急度の高い車両に無線リソース(周波数帯域や通信時間)を割り当てる「適応ネットワーク制御技術」を同社のMEC(多重アクセスエッジコンピューティング)サーバ及び基地局に実装し、自動運転の安全性を向上する実証実験を行った。

そして車両の位置情報や道路の周囲を撮影するカメラ画像などの分析結果をもとに、基地局が緊急度の高い車両へ優先的に無線リソースを割り当てることで、安全運転支援に必要な通信遅延時間100ミリ秒以内を安定的に実現できること――従来27%であった当該時間内通信の確率が99%に改善し、標準化団体3GPPの規定要件95%を上回っていることを確認した。

そこには総務省の委託「多数デバイスを収容する携帯電話網に関する高効率通信方式の研究開発」の成果を含んでいるという。上記技術をバルセロナで開催される「MWC'19」にて披露する。同社は今後、5G対応も視野に同技術を一層磨き上げ、それを自動運転はもとより、リアルタイム通信制御が求められる様々なIoTサービスに適用していく構えだ。