2018年度のRPA市場は418億円、矢野経済研究所予測

矢野経済研究所は、国内のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場を調査し、カテゴリ別の製品・サービス動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ユーザー投資が本格化し市場は大きく伸長、業種・職種に特化したソリューションの他、AI・OCR・BPMなどの周辺技術との連携が進む見通しだ。

RPAは、バックオフィス・間接部門などホワイトカラー職種の業務オペレーションに対する、ソフトウェアロボットによる業務自動化の取り組みのこと。機械学習や人工知能(AI)といった認知技術を活用し、ソフトウェアロボットが文章・画像・音声などを認識することで、これまで人間のみが対応できると想定されていた単純作業、もしくはそれ以上に高度な作業を人間に代わって処理できる。

RPA活用における目的や期待される効果として、生産性・品質向上、人的資源の再細分化、業務の標準化などが挙げられる。旧来、「物体」を対象としたブルーカラー業務においてロボット活用と業務の自動化が進めされてきたことに対し、RPAは「情報・データ」を対象とした、主にホワイトカラー業務におけるソフトウェアロボットである点が大きな違いである。

2018年度の国内RPA市場規模を前年度比134.8%増の418億円と予測する。カテゴリ別に見ると、RPAツール製品は前年度比164.7%増の135億円(構成比32.3%)、RPA関連サービスは前年度比122.8%増の283億円(同67.7%)の見込みである。2018年上半期は、政府による働き方改革推進が追い風となり、RPAブームとも呼べる盛り上がりを見せた。広範な業界・職種におけるRPA導入事例が各種イベント・セミナー・メディアで取り上げられた結果、有力な働き方改革ツールの一つとしてRPAの社会的認知度が高まり、大手や中堅のユーザー企業を中心にRPAの導入が増加した。

また、海外製RPA導入時の課題となっていたインターフェースやドキュメント、およびサポート体制の日本語対応が急速に進んでいった。2018年下半期には、RPAに対して過度な期待を持ったユーザー企業が、導入後に失望感を感じたケースが散見され、RPA適用における課題やリスクが認識されるようになった。ブームは収束の兆しを見せ、先行したユーザー企業の多くが、導入製品・依頼先ベンダーの再検討、RPA活用を前提とした環境・業務・ガバナンスの整備、AI・OCR・BPM(ビジネスプロセスマネジメント)などの周辺技術を連携した精度向上・自動化領域の拡大などの取り組みに着手している。

なお、多くのSIerやITコンサルティング企業でRPA事業が開始されているほか、自社サービス内にRPAを組み込んだシェアードサービスセンター事業者やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業者、RPA人材の育成・派遣事業を展開する人材派遣業者など、多様な事業者がRPA市場に参入している。