車載型メタンガスセンサーを用いたガスパイプライン点検サービスの国内展開を開始

NTTアドバンステクノロジ(以下、NTT-AT)は、米Picarroが開発した「車載型ガスパイプライン点検サービス」の日本国内での提供を開始した。NTT-ATにおいて、日本国内向けにカスタマイズを行い、2018年11月から帝石パイプライン株にて運用が開始されている。

このサービスは、高感度センサーを搭載した車でパイプライン付近を運転してメタンガス濃度を計測し、データをクラウドにアップロードして解析することで、作業員が徒歩で行っていた従来の点検方法に比べ、格段に効率よくパイプライン点検を可能にするもの。

NTT-ATは、日本の道交法や電波法を遵守して運用するため、同サービスを構成する車載型メタンガスセンサー「Surveyor(サーベイヤー)」と、データを保存し解析するクラウドサービス「P-Cubed(ピーキューブド)」のカスタマイズを行っている。

車のバンパーに設置された取込口から走行時に空気を取り込み、トランクに設置されたCavity-Ring Down方式のレーザガスセンサーまで搬送して空気中のガス濃度を計測する。このセンサーは車の最大走行時速65キロメートル(km)でも、空気中のメタンガス濃度をppbオーダーレベルで高感度に計測可能で、従来の徒歩による計測方法に比べ、短時間でかつ高感度に点検できるという。また、車を走行しての点検であるため、雨や雪などの悪天候時でも点検を実施することが可能だ。

Surveyorのメタンガス計測結果は、同時に計測した車の位置や風向風速などとともに、P-Cubedにアップロードされ解析される。P-Cubedは、風が吹いた際のメタンガスの挙動を考慮して計測結果を分析し、ガスリーク地点が存在すると推定される領域を提示。また、メタンガスに含まれるエタンガスの含有率から、メタンガスが天然ガス由来のものなのか、農地や腐敗物などから発生したものなのか、あるいは自動車の排気ガスなのか判別することが可能。これらの計測・分析結果は、インターネットを通じて、計測中の車内やオフィスのPCやタブレット上にリアルタイムに表示される。

同サービスにより、短時間・高感度に検査を実施することで、パイプラインのより一層の安心安全が確保できる。また、パイプライン劣化を初期段階から検知可能なので、長期の補修計画が立てやすくなる。さらに、点検が短時間で効率的に実施できるため、自然災害発生時にガス供給復旧までの時間短縮化が図れるという。