人のわずかな動作の違いも見つける行動分析AIを開発、三菱電機

三菱電機株は、自社のAI(人工知能)技術「Maisart(マイサート)」を用いて、事前の機械学習なしに人のわずかな動作の違いも見つける独自の「行動分析AI」を開発した。人が自分自身では気付きにくいわずかな動作の違いを自動的に見つけることができる。

従来の行動分析AI技術では、動作要素の境界を推定するために、人手による大量の教師データの作成や事前の機械学習が必要なため、適用に手間と時間がかかる課題があった。今回、工場での作業や日常生活などにおいて、同じ動作が繰り返される場合に着目することで、事前の機械学習が不要で、その場で取得した計測データのみから行動のわずかな違いや無駄な動作を分析することができる行動分析AIを開発した。

同社によると、例えば、工場の生産現場では、作業者の手順の違いや無駄な動作の検出により、一人ひとりに合わせた作業改善ができ、生産性向上に貢献できるという。

行動分析AIでは、事前の機械学習が不要で高速処理が可能。従来の行動分析技術に必須であった人手による大量の教師データの作成や事前の機械学習が不要なので導入が容易であるという。行動分析が数秒から数分程度(同社比20分の1以下)で高速処理が可能だ。

また、人の動きを計測した位置データから動作要素の境界を推定し、一人ひとりの標準動作パターンを決定し、わずかな手順の違いや無駄な動作などの標準とは異なる動作を検出する。製品の組み立て作業への適用では、作業者が最適な作業に習熟するための支援ツールとして利用することで、一人ひとりに合わせた作業改善や効率化を実現する。

工場での製品の組み立て作業を対象とした分析では、センサーで計測した両手の3次元位置の計測データに対して行動分析AIによる高速処理を行い、わずかな手順の違いや無駄な動作などの非標準動作を検出できる。

今後、自社工場への試験導入を通じて実用化開発を進める計画。また、事前の機械学習を必要とせず容易に導入できる特長を活かし、工場以外の様々な分野への適用を検討していくという。

Maisartは、「Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in technology」の略。全ての機器をより賢くすることを目指した同社のAI技術ブランドだ。