調剤薬局オペレーションを自動化、業務の効率化をめざす

我が国の社会保障制度は高齢化による歳出拡大を背景に、国民負担の増加抑制と制度の安定が求められている。国民医療費は'17年度42.2兆円、'25年度には61兆円への拡大が見込まれ、調剤医療費('17年度:7.7兆円)も'25年度にかけて増大することが予想される。

そこで政府は、持続可能な社会保障制度を確立するために地域包括ケアシステムを推進していて、薬剤師に、在宅医療の一端を担う存在としてより一層対面業務(服薬指導等)に従事することを期待。また、生産年齢人口の減少、薬剤師を含む医療従事者不足や個人薬局を中心とした後継者問題が顕在化しているため、ICT、AIやロボット等を活用した業務効率化を推進(関連:平成30年版情報通信白書)しているという。

住友商事は、上述のような背景のもと、社会的に不可欠なインフラである薬局の調剤サービス、そして調剤薬局事業における基盤拡大の布石として、今月から調剤併設型ドラッグストア「トモズ」の松戸新田店にて、調剤業務の効率化に向けた調剤オペレーション自動化の実証実験を行う。

同実験ではシロップ・粉薬・軟膏など薬の形状に合わせた各種調剤機器、さらに一包化を行う機器等の導入により、薬剤師の監督のもと調製・収集業務の約9割を自動化・半自動化する。特定の薬に対応した機器を設置するのではなく、大規模に自動化・半自動化を図るのは国内初の試みとなる。自動化により業務の効率化が見込める。薬剤師はより付加価値の高い患者との対面業務に注力することが可能になるという。

「iBow」のeWeLL地域ヘルスケア連携基盤とも協業する同社は、上記実験を通じて、分包センター(各地域の薬局からの依頼を受け、手間のかかる一包化調剤を大規模な機器で効率的に行い、それを薬局や介護施設等へ配送する拠点)をはじめとした欧米諸国の新たな事業モデルにも対応できるよう、知見を集積していく考えだ。