悪天候でも衝突回避、"クルマの眼"を補佐するセンシング技術が登場

近年クルマの技術進化が著しい。あらゆる操作を安全にシステムへ委ねられるレベル4自動運転車両の'20年代商用化、それもあるが、現行車両でも高速ドライブ等の負担を相当軽減する運転支援システムの搭載が増えつつあるし、近ごろ日本で販売された新車の7割は「自動ブレーキ」付きだ。

その正式名称は「衝突被害軽減制動制御装置(AEBS)」。これはカメラやレーダーなどで前方の自動車や歩行者を検知して、危険なときには音や警告灯などでドライバーにブレーキ操作を促し、ブレーキ操作が無くこのままでは追突や衝突が避けられないとシステムが判断した場合、被害を軽減するため自動的にブレーキが作動するしくみのことだが、環境や条件により作動しないケースがある。(参照:自動車事故対策機構Web

運転支援システムなどの安定作動では、複数センサーによる先行車両や障害物等の情報(位置・速度・大きさなど)の正確な検知が必要。だが、従来の技術では、電波やレーザーの透過性やカメラの視認性が落ちる豪雨や濃霧といった悪天候時に、それが正常に作動しないことが多く課題になっていたという。三菱電機は、車両周辺の状況を高い精度で検知できる「悪天候に対応可能な車載向けセンシング技術」を開発した。

同センシング技術では、複数の車載センサーが検知した同一対象物の速度・車幅・向き・距離などの時系列データを瞬時に分析し、センサーごとの特性を基に、天候などにより変化する情報の信頼度を推定する。複数センサーから得た信頼度の高い情報を選択・統合することにより、悪天候時でも高い検知精度が維持されるという。

実車にてAEB性能の実証実験を行った結果、前方静止車両に接近する一定条件において、時速40km走行時でも衝突回避機能の作動を確認。雨量80mm/h、視程15mの霧中といった従来技法で作動不可だった環境でも、衝突回避機能の作動が確認された(詳細PDF資料)。