雪質の微妙な違いをAIで判別、道路管理システムをウェザーニューズが開発

ウェザーニューズは、雪に関するAIモデルを世界で初めて構築し、定点カメラの映像/画像から路面状態をリアルタイムに自動認識する「AI道路管理支援システム」のプロトタイプの開発に成功した。

現在、雪氷作業は主に気象予報と定点カメラや巡回による目視によって判断されている。しかし、数十カ所に及ぶモニタ画面を人の目で確認するには限界がある。雪質の変化をいち早く察知するにはシステム面からの支援が必要となるが、画像解析やAIの導入は進んでいない状況だ。

背景として、世の中には人・顔・車などを認識するAIモデルは溢れているが、システム構築に有効な雪の状態や路面の状況を詳細に認識できるAIモデルが存在していないことが挙げられる。また、従来の画像処理の手法は、カメラのアングルや明るさの変化に対応できないため、アングルを頻繁に操作して監視を行う実際の業務には不向きとなる。

そこでウェザーニューズは、AIモデルの設計を見直すとともに教師データを独自に構築・学習させることで、カメラの向きや設置場所の変化に対応しながら多様な雪の状態を認識できる世界初のAIモデルを開発した。

このシステムは、積雪・圧雪・シャーベット・乾燥などの画像データ上の特徴の微妙な違いをAIが機械学習し、これらが混在する複雑な路面状態をリアルタイムに認識することができるという。従来の画像解析の方法では判別が難しい、夜間に吹雪の中を車が走行している状況でも路面状態を正確に把握することが可能だ。

同社は、この新たな技術が雪氷対策作業の効率化、交通事故の低減、自動運転技術の向上などにつながると考えている。まずは、道路管理者や自治体の雪氷対策作業で実際に活用できるよう、2019年夏の実用化を目処に開発を進めていくという。