高耐久のキャパシタ電極カーボンを開発 高電圧キャパシタモジュールの小型化が可能に

東北大学多元物質科学研究所の野村啓太(大学院生)、西原洋知准教授および京谷 隆教授、TOC キャパシタの小林直哉博士らの研究グループは、細孔壁が高品質のグラフェンから成るメソ多孔体である「グラフェンメソスポンジ」をシームレスなシート電極に成型し、これを用いた高耐久の電気二重層キャパシタを開発した。

「細孔」とは材料の内部に存在する微小な穴(孔)のこと。細孔壁とは、細孔を取り囲む固体部分の名称である。また、グラフェンとは、黒鉛を構成する炭素六角網面の1枚のシートのことを指す。

電気二重層キャパシタとは、アルミ電解コンデンサとリチウムイオン電池の中間的なエネルギー密度と出力密度をもつ蓄電デバイスである。英語名はElectric double-layer capacitorで、頭文字を取って「EDLC」と略記される。リチウムイオン電池は電極材料の酸化還元反応によって充放電するが、電気二重層キャパシタは電解液と電極材料との界面に形成される電気二重層によって充放電する。電極材料には比表面積が大きく導電性を持つ活性炭が使用されている。

現在の電気二重層キャパシタは活性炭を電極材料に利用しているが、高電圧をかけると活性炭が劣化するため単セルの上限電圧は2.7~2.8 Vに制限されていた。このため、数百Vの出力を得るには100個以上の単セルを直列に接続しなければならず、モジュールが大型化するため用途が制限されていた。

今回開発した材料を用いた電気二重層キャパシタは、60度の高温で3.5Vの高電圧を700時間以上に渡って印加しても全く劣化しなかった。さらに、室温で最大4.4Vまで電圧を上昇できた。

従来の高耐久性材料は単層カーボンナノチューブだったが、今回の材料は高温耐性・高電圧耐性でこれを上回った。さらに、単層カーボンナノチューブよりも製造コストが低く抑えられる利点もあるという。研究グループによると、単セルの電圧を増加させることで高電圧キャパシタモジュールの小型化が可能になるため、電気二重層キャパシタの用途範囲が大幅に広がることが期待でると説明する。

今回の研究成果は『Energy & Environmental Science』誌でオンライン公開された。

カーボンナノチューブに勝る高耐久のキャパシタ電極カーボンを開発

カテゴリー: 製造   

大島 純一郎

大島 純一郎Author

証券系システムエンジニアやIT系資格対策問題集の編集、IT系Webメディアの編集記者などの経歴を生かして、企業向けIT関連の記事制作に携わる。専門は、IT、金融、医療分野。医療情報システムの企画/構築、運用に関する知識を有する専門者としての資格、医療情報技師、情報セキュリティアドミニストレータの保有者。

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