移動制約者の課題を解決する「地域版MaaS」を視野に入れた共同研究を開始

現在、地方においては、少子高齢化や過疎化など様々な社会課題を抱えている。特に、車が不可欠な環境でありながら、自身で車を運転できずに日常生活を送る上で必要な移動手段が確保できない人(移動制約者)の問題が顕在化している。その解決に向けた取り組みが各地で進められている。

NECソリューションイノベータ、いーじー、医療法人社団田谷会は、地域における交通課題の解決を目的に、地域版MaaSを視野に入れた共同研究を開始した。MaaS(Mobility as a Services)とは、ICTを活用して交通をクラウド化し、マイカー以外の全ての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな移動の概念。地域版MaaSでは、同じ地域の企業や市民が協力して移動をサービスとして提供することで、移動制約者などの交通課題を解決することを狙いとしている。

今回の共同研究では、日常生活を送る上で必要な移動手段が確保できない「移動制約者」の課題を解決すべく、石川県小松市で田谷会が運営する介護施設において、多くの課題やニーズを抱えていると想定される高齢者に対して、日々の交通における課題やニーズに関するヒアリングを実施する。

研究に先立ち、2018年12月14日に、地域交通への理解を深めるために、小松市でアイデアソンを開催。このアイデアソンには、地元の社会課題に強い関心を寄せる地元企業担当者や学生ら11人が参加した。

田谷会が運営する介護施設の利用者からは、送迎に関し「自宅と施設の往復だけでなく、買い物に行ったり、知人の家に立ち寄ったりしたい」という希望があがることがある。しか。しかし、法令上または安全上の理由から、規定以外のルートを通ることはできず、希望に沿うことが難しい状況だ。

三者はこの研究を通じて、外出時に人の手を借りざるを得ず、そのことへの心理的負担から頻繁に外出できないと想定される移動制約者の課題が解決され、「誰もが気がねなく、おでかけできるまち」の実現を目指していくという。

事業やサービスのICT化、デジタル化は、情報通信技術の発達と共に産業の各分野で進んできている。交通分野も例外ではなく、特にICT関係の技術、サービスの発達速度はきわめて速いと言われている。