家電ごとの電力使用量をAIで推定、三菱電機が見える化技術を開発

三菱電機は、自社AI(人工知能)技術「Maisart(マイサート)」を使い、スマートメーターで計測した住宅全体の電力使用量から、家電ごとの電力使用量を推定する「家電ごとの電気の使い方見える化技術」を開発した。東北電力が2018年7月から実施している実証実験「よりそうスマートプロジェクト」の省エネアシストサービスに採用されている。

各家庭の30分ごとの電力使用量を計測できるスマートメーターの普及が進んでいる。家庭では、家電ごとの電力使用量を把握したいニーズがあるが、スマートメーターは住宅全体の電力使用量しか測定できない。技術的には、分電盤に電流センサーを設置すれば、家電ごとの電力使用量を把握できる。しかし、センサーの設置費用がかかるという課題がある。

今回開発した技術は、新たな計測器を取り付けずに、AIが家電ごとの電力使用量を推定するというもの。電流センサーなどの計測器を使った従来の推定方法と比べ、蓄積データ量を1%以下に抑制できる。

まず、1日当たりの家電ごとの電力使用量を左右する属性情報を抽出。それをグループ化した結果を、朝と夕方に電気を多く使うグループ、深夜に電気を多く使うグループなどといったスマートメーターの計量値の類似度で分類する。分類結果を、朝と夕方にエアコンを多く使うグループの中でも、時間帯によらずエアコンを使うグループ、夜だけエアコンを使うグループなど、1時間単位で家電ごとの電力使用量の類似度でさらに分類していく。

また、家電ごとの電力使用量の特徴を典型パターン化し、高精度で推定する点も特徴。事前にモニター住宅で計測した住宅全体や家電ごとの電力使用量と家族構成や保有家電などの属性情報を基に、AIが3段階のクラスタリングを実施する。

さらに、起床や帰宅、調理など日ごとや家庭ごとに異なる行動時間の微小な変動を吸収しAIが補正。家電ごとの電力使用量の特徴が類似する住宅をグループ化することで、典型パターンを作成。最も類似する典型パターンをAIが自動選択するため、実績値との誤差を抑え、高精度の推定を実現できると同社は説明する。