東日本大震災によって、エネルギー管理の重要性が強く認識された。その後、太陽光や風力など再生可能エネルギーによる発電の導入が大きく進んだが、これら再エネによるしくみは、天候など自然現象で発電量が左右され、電力の供給量を安定・制御できない――。
一方、太陽光や家庭用燃料電池などのコージェネレーション、蓄電池、電動車など、需要家側で分散型エネルギーリソースが普及し、これらを統合制御することで発電所と同等の機能を提供するバーチャルパワープラント(VPP)の実証と、分散型エネルギーリソースの保有者もしくは第三者が、そのリソースを制御して電力需要パターンを変化させるデマンドレスポンス(DR)の実用化が進んでいる。(ことば引用:資源エネルギー庁Web)
脱炭素社会への取り組みが進む中、電力会社と需要家が協力して電力の使用量を調整する。電力不足が予想される時間帯に、節電に貢献した需要家へ対価を支払うことで、電力使用量の削減や平準化を図るためのDRだが、その制御の成功率は低く、電力会社の調整要請に需要家が対応できず、節電量を達成できず報酬も受け取れないなど、課題があるという。
富士通と富士通研究所は、ブロックチェーン技術を応用し、電力需要家(工場や店舗など)間で不足・余剰電力の取引を実現するシステムを開発した。同システムは、需要家ごとの自家発電や節電で生み出される余剰電力を、需要家間で効率よく融通する仕組みをブロックチェーン上に適用したものであり、エナリス社の協力下、消費電力実績データを用いたシミュレーショにて、DR成功率が約4割向上することを確認した。
今回のシステム技術を、第43回地球環境とエネルギーの調和展で披露する。富士通と富士通研究所は、DR制御の成功率向上はDRに参加する需要家の増加につながり、安定した電力供給や、DRの狙いの一つでもある再エネの導入拡大を実現可能にするという。