スマートファクトリー、5G通信で産業用ロボットを制御

「第4次産業革命」時代に突入した今、あらゆるモノがネットにつながるIoT技術の活用が進んでいる。製造業界においては、生産性向上に資するファクトリーオートメーションに、IoTなどの先端技術を用いてロボット群を同期させるといった新しい仕組みを取り入れることも検討されている。
いわゆるスマートファクトリーの実現では、ものづくり現場への先進的ICT(情報通信技術)導入が必須となる。部品及びプロダクトの流れやプロセスの進捗、環境、ロボット等の稼働状況などを情報テクノロジーでリアルタイムに監視したり、制御したり、改善したりするためにも、2時間動画を3秒で送れるほどの超大容量、極めて低遅延、多数端末同時接続といった特長を備えた次世代移動通信システム(5G)がその威力を発揮するだろう。


そのためには、限られた資源である「電波」について、有効利用できる実現性の高い技術の検討を行う必要がある。そしてその技術の早期導入を図ることを目的として、総務省が「技術試験事務」を実施している。1月29日、同試験事務における5G総合実証試験として、ATRKDDIデンソー九州工業大学は、ファクトリーオートメーションで5Gを活用した産業用ロボット制御の実験を開始した。

KDDI総合研究所およびデンソー九州の協力のもと行う、この度の取り組みでは、28GHz帯の5G基地局による試験エリアを構築し、高精度の三次元計測センサーと産業用ロボットに5G対応端末を接続した上で、計測/制御データを送受信してロボットの高精度な制御を行う。従来課題であった製造工程の変更に伴う、ロボットの配置換え前後での調整作業の省略および省力化、ロボット制御用回線の敷設変更作業の解消をめざす。

5G経由で大量のセンサー情報の伝送をも可能とする。今回の実証試験により、まずは工場内のレイアウトの柔軟性向上、工場の稼動停止時間の短縮が具現化されるという。