JR九州とドコモ、列車の車窓上でAR技術を用いた新たな旅行体験の創出を目指して協業

九州旅客鉄道株式会社(JR九州)とNTTドコモ(ドコモ)は、「列車の窓」を新たな情報表示プラットフォームとして活用する新体感の列車内観光サービスの実現に向けた協業協定を締結した。

今回の協定によって、風景に合わせた観光情報をAR技術などにより車窓へリアルタイムに表示し、タッチや声などの操作で必要な情報をインタラクティブに提供することで、利用者の鉄道旅行の満足度を向上させるサービスの創出を目指す。

両社は、XR(AR/VR/MR)や第5世代移動通信システム(5G)などといった先進技術の活用を視野に、2020年のサービス実用化を目標とした継続的な取り組みを行う。この取り組みには技術面の共同検討パートナーとしてゼンリンデータコムが参画する。

また、列車内における新体感観光サービスの提供以外にも、利用者自身のスマートフォンやタブレット端末と連携し、列車降車時から目的地までの観光ガイドを提供。多言語対応を可能にすることで、より利用者へ寄り添う観光ガイドサービスへと進化させる方向性を検討していく。

さらに将来展望として、沿線地域の活性化や社会課題の解決を視野に、地域文化や伝統工芸、特産品などといった様々な観光資源の魅力を効果的に伝えることができる、観光ガイドとしての価値創出に向けて取り組む。

サービスの導入検証として、2019年春から肥薩線人吉駅~吉松駅区間を走行するD&S(デザイン&ストーリー)列車「いさぶろう・しんぺい」の車内において、列車の走行位置に応じた観光情報をタブレット端末上で提供する実証実験を行う。

D&Sとは、単なる移動手段ではなく、乗ること自体が目的となるような列車として個性溢れる洗練されたルックスやインテリア、ユニークな仕掛けを備えた、JR九州が運行する観光列車のことだ。