Moniciaは、京都大学COI拠点における京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学 江川美保 助教、万代昌紀 同教授らの研究グループとの共同研究成果に基づいたもの。毎日の体調記録を行うアプリと、月経周期を予測するための温度計測デバイス(以下、Moniciaデバイス)をセットにしたセルフモニタリングツールだ。Moniciaデバイスは、衣服内温度計開発企業の協力を得て開発中の月経周期を予測するためのデバイス。
Moniciaは、月経のタイミングを知ることで、PMS(月経前症候群)の可能性がある人や、月経前の不調に悩む人が、自分の生活リズムを変え、人に相談する(理解を求める)、仕事のペースを緩めるなどセルフコントロールをすることに役立つという。
体調記録のアプリでは、毎日の心身の調子を入力する項目と、月経前の不調として現れやすいとされる心身入力項目全25項目について必要なものを選択し、記録を続けることができる。
調子の代表入力項目はアイコンと連動した入力方式を採用し、イライラ・不安などの症状、胸の張りや痛み、頭痛、むくみなどの症状25項目は、毎日の症状の強さを4段階で入力できる仕組みだ。その他、月経関連情報(日数、量)、お通じの状態、体重の記録管理を行うことによって、細やかな体調管理をサポートする。
また、Moniciaデバイスは就寝前にパジャマのズボンに装着することで、睡眠中の腹部の温度を計測することで得られる代表温度をもとに月経周期の相対的な温度変化を把握し、低温期・高温期の予測に役立てることができる。
京都大学COIの共同研究では、月経前の心身の不快症状が強い女性へのインタビューや、プロトタイプアプリを用いたコニカミノルタ社内女性従業員への実証実験、京都市内の働く女性・学生・患者等への実証実験の結果をもとに、女性が自らの周期的な体調変化に気づき適切な対処を行うためのセルフモニタリングツールの開発を進めてきた。
近年、企業の健康経営の観点では女性特有の健康問題におけるプレゼンティズム(業務効率が落ちている状況)の影響が重要視されつつある。日本医療政策機構の調査では、PMSや月経随伴症状によって、元気なときと比較して仕事のパフォーマンスが半分以下になる人が45%に上ることや、女性の半数以上がPMSの症状を感じている一方で、有症者の63%が特に何もしていない現状が明らかになっている。
PMSは月経がはじまる前の数日間(3~10日)に起こる心と身体の様々な不調のことで、月経が始まると治まってくるものを指す。症状の現れ方は人それぞれで、対処方法や治療方法も様々な方法がある中、自分がいつ、どんな症状がどの程度現れていたのかを把握するための体調記録によるセルフモニタリングを続けることが症状改善の第一歩と言われている。
また、READYFORが運営するクラウドファンディングサービス「Readyfor」にて、PMSの悩みを抱える女性や周囲の人々に向けた購入型クラウドファンディングを開始。プロジェクトは2019年3月10日までに目標金額500万円を目指す。