訪日客や障がい者にも優しい、緊急音声放送の可視・多言語化を実証

東京五輪・パラリンピックが開催される日本は昨今、'25年までに訪日外客数4,000万人を謳っている。ほかにも世界的スポーツイベントの開催や万博などを控えていて、訪日観光客や外国人居住者は増加の一途をたどっている。


一方、大規模な自然災害が度々発生していて、外国人や高齢者、障がい者など、非常時に必要な情報から取り残されがちな人々に情報を迅速かつ確実に届け、避難行動につなげる必要性が高まっている。消防庁のガイドライン(PDF資料)にもあるように、災害情報の伝達および避難誘導についての多言語化や文字などによる視覚化が推奨され、平時のデジタルサイネージ等を災害時にも活用することが促進されているという。

防災ソリューションを展開するTOAは1月21日、「東京都・町田市合同帰宅困難者対策訓練」において、「放送設備とデジタルサイネージを連携させたシステム」を用いる実証実験を行う。遠隔地からカメラ映像で現場状況を把握しながら、鉄道の運行状況や一時滞在施設の開設状況等を発信するなど、音声放送と画像・文字情報を連動させて、災害時に避難誘導する。

同システムでは、信号の伝送方法に世界初の技術(特許出願中)を利用。情報は日本語と英語(運用で変更・追加可能)で提供され、外国人観光客や難聴者らをより的確に誘導できるか検証する。デジタルサイネージにはDNPが開発した放送音声を視覚情報に変換する装置を用いて、これにより音声と映像を連動させた情報配信を可能とする。

今回の実証実験では、訓練開始前に災害時の一斉帰宅抑制(混乱防止や安全確保)の呼び掛けをデジタルサイネージに表示。そのあとに緊急地震速報や公共交通機関の停止情報、一時滞在施設の開設情報等への切り替え、日本語と英語で音声&視覚情報を発信し、帰宅困難者用ツールとしての効果も調査する。しくみをDNPとともに改善していき、多様な機関・施設への提供をめざすという。