ロボット船や着桟システムにて海洋探査とスマート漁業を支援する

AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった先進IT(情報技術)およびロボティクスの用途は近年、多岐にわたる。製造や物流、医療、土木建築、社会インフラの保守、農業や養殖業の生産効率アップ、そして自動運転車でもそれらの活用が見込まれている。


世界の先進国が「第4次産業革命」をめざし、日本政府が「超スマート社会(Society5.0)」の具現化を進めているなか――。自動車や農業機械分野においては、ロボット技術の実用化が進んでいるが、 "海"における自動化技術は十分に確立されていないという。ヤンマーは、危険海域などで自動航行し、海域調査やスマート漁業などでの活用が期待される「ロボティックボート」の基礎技術および「自動着桟システム」を開発した。

様々なフィールドでロボットやIT技術を研究してきた同社は、漁船やプレジャーボートで培った造船技術(ハード)と、中央研究所の基幹技術(ソフト)の融合により、海域調査やインフラ点検などに貢献する船を実証。戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代海洋資源調査技術」(海のジパング計画:JAMSTEC)の一環で開発した今回の実証機は、海洋資源調査の自律型無人探査機を捕捉する洋上中継器(ASV)として活用された。

ヤンマー造船のガラス繊維強化プラスチック(FRP)の成型技術による小型・低コストでの生産を実現し、ミドルウエアを採用したプラットフォームを搭載。これにより様々な需要に対応できるしくみを構築していて、大学や研究機関における海洋試験での活用拡大や産業界での実用化をめざす。ロボティックボートに関連する自動操船技術として、漁船やプレジャーボートでも搭載が可能な「自動着桟システム」も開発した。

今回の技術について、広く自社商品のボードなどへの搭載も検討するヤンマーは、着桟時の操船の煩わしさの解消と、快適な航行の実現に貢献していく構えだ。