新日鐵住金、次世代自動車の構造コンセプトを構築

新日鐵住金は、自動車産業の大変革期をビジネス進化の新たな起点と捉え、研究開発を加速し、鉄による次世代自動車の構造コンセプトを構築した。これは、2020年中期経営計画におけるキーワードである「つくる力を鍛え、メガトレンドを捉え、鉄を極める」を具現化するものだという。


新日鉄住金は、次世代自動車と各パーツに求められる性能を想定し、先進的な素材開発はもちろん、最大限に素材性能を引き出すための部品構造やその構造を具現化する加工技術を組み合わせることで、次世代自動車構造コンセプト「NSafe-AutoConcept」を構築した。このコンセプトでは、各部材の機能を高めることで、軽量化ソリューションを中心に、燃費や電費性能から、衝突安全性能、走行性能や音振動・静粛性能に至るまで、自動車全体の付加価値の向上策を提案している。

NSafe-AutoConceptでは、鉄鋼素材のみの適用に限定した約30%の軽量化を達成した車体設計ソリューションを提案する。アルミを適用したオールアルミ車の質量に匹敵し、他の素材を用いることなく、軽量化が達成でき、衝突安全性向上にも寄与。次世代自動車における鉄鋼素材の可能性を示すものだという。今後、さらなる軽量化を見据え、鉄のポテンシャルを最大限活用していう中で、「鉄を主体とするマルチマテリアル化」も一つの視点としてグループ一体となって軽量化に取り組む方針だ。

また、部品構造の設計条件に踏み込んだソリューション提案を実施する。具体的には、引張り強度が2.0GPaまでのハイテンの素材を部品性能に応じて適正に選択して、必要特性を担保。部品を構成する板厚の低減や部品統合を図る。さらに、電動機付き車両のバッテリー構造に関しては、車体骨格の構造コンセプトの知見を活用しつつ、耐食性と耐火性に優れた鉄製構造コンセプトを開発していく。