スマート工場、屋内外の資材等を高精度かつ容易に測位する

多数の資材、仕掛品、完成品が様々な場所に保管されている。広大な敷地を有する工場では、目的のものを捜すために膨大な時間と労力を費やすことになるため、屋内ではビーコン方式、屋外ではGPS電波を使ってそれら資材等の管理を行うことが多い。


従来の位置管理システムではしかし、屋外で10m程度の誤差が生じるため、正確な位置管理ができない。また屋内では、特殊なビーコン装置を多数配置しなければならず、電池交換などシステム全体の保守に手間がかかるうえ、測位精度が粗ければ資材運搬の自動認識は難しく、手動操作を要するという。NEC通信システムは、資材・仕掛品・完成品の保管位置を高精度に測位する「マーカー測位技術」(特許出願中)を開発した。

同技術は「資材監視ソリューション」を強化するものであり、拡張現実(AR)で用いられるカメラ位置や姿勢/角度を推定する技術を応用し、壁面や柱、資材等に取り付けた複数のマーカー(紙状媒体)をカメラで撮影し、カメラ位置および資材位置の測定を行う。これにより、屋内外の資材等の保管位置を1m以内の精度(同社内検証結果)で正確に把握可能とする。

マーカーを撮影した映像をもとに位置測定を行うため、資材の保管や移動・撤去を一連の流れとして捉えられ、資材の動きを自動的に監視することができる。ビーコン等電波方式で要求される特殊な装置を不要とするため、取り扱いが簡易で、電池交換なども不要となり、保守性に優れている。そして、風雨に耐えられる媒体のマーカーを使用すれば屋外でも位置の推定が可能となり、屋内外で同じ仕組みを使って資材管理を一元的に行える。

マーカー測位技術は位置情報を利用する多彩な分野へ応用できる要素技術だという。同社は、この技術を幅広い業種・業態へ展開し、新たなビジネス価値創出に貢献していく構えであり、まずは今月16日~18日「第3回スマート工場EXPO」にて同技術を披露する。