車線からはみ出さず、前の車に追随して走り、高速道路で遅い車を追い越し、渋滞の最後尾や障害物などの手前で自動停止する。高度な運転支援機能を備えたレベル2車両はすでに実用化されていて、今後そのステージは「システムによる監視」が主体となるレベル3、4、5へと移っていく。
日本における取り組み等は「官民ITS構想・ロードマップ2018」(官邸WebサイトPDF資料)に詳しく、自動運転の各レベルについては、国土交通省Webサイトの資料(一覧PDF)で理解できる。いま、人手不足の深刻化や交通弱者の増加を背景に、最も注目されているのは高速道路で大型貨物車両の隊列走行などを可能にする「レベル3」と、過疎化が進むなどする地域で無人自動運転移動サービスを実現する「レベル4」だ。
そこで今月10日、愛知製鋼、SBドライブ、先進モビリティ、ANA、NIPPO、NECの6社は連携して15日~25日、羽田空港の制限区域内で自動運転バスの実証実験を行うと発表した。今回の実験では、市販小型バスを改造した自動運転バスを使用。航空機や特殊車両が走行する特別な環境にある空港の第2ターミナル本館とサテライト(別棟)間片道約600mを「レベル3」で往復し、実用化に向けた各種課題を抽出するという。
走行ルートは実稼働しているため、高い精度での車両位置調整が求められる。そのうえ、周囲の遮蔽物によりGPS電波を取得できないエリアがある。ゆえにルートに沿って磁気マーカー(RFIDタグ)を埋設し、車両底部の高感度磁気(MI)センサでそれを検知することで、安定的に車両位置を自動調整できるようにする。
公道とは環境が大いに異なる、空港制限区域内におけるバスの運行管理はオペレータが、遠隔地から「Dispatcher」システムを利用して、たとえばジェットエンジンのブラスト(高温高圧の爆風)を避ける停止線からの走行再開をバスに指令するという。