小型軽量化された回転角度センサ、次世代車両の性能アップへ

われわれ人類と多様な生物がともに暮らす地球、その温暖化対策に厳しい目を向ける諸外国では近年、化石燃料で走る車を制限あるいは禁止する動きが始まっている。日本でも、燃料電池車(FCV)や電気自動車(EV)などの研究開発が盛んだ。


排出ガスを一切出さないそれらZEV(ゼロエミッションヴィークル)では、駆動モータユニットや電池の軽量化が、高いエネルギー効率を実現するための課題になっていたという。東北大学大学院工学研究科、産学連携先端材料研究開発センター、松尾製作所の共同研究グループは、次世代車両向け駆動モータ用回転角度センサを開発。電磁鋼板一枚で磁場の経路を成立させて、材料の使用量を低減し、重量とコストの削減に成功した。

研究グループは、駆動モータユニットに欠かせないモータ用回転角度センサの 構造に着目し、これまで電磁鋼板を積層させて磁場の経路としていた部分に対し、この経路を電磁界解析で可視化――。電磁鋼板一枚を曲げて円環状に配置することにより、磁場の経路が成立できることを見出した。そして、回転角度センサにおける電磁鋼板の使用量を従来比で約76%低減させることに成功した。

同センサを実際のEV駆動モータユニットに搭載し、ベンチ評価を行った結果、モータのトルクと回転数において、 従来品と同等の出力が得られたという。現在、無方向性電磁鋼 板を用いてセンサの特性を満足させているが、今回開発した技術は、電磁鋼板一枚で磁路を成立させているため、圧延方向の透磁率が大きい方向性電磁鋼板を採用することで、更なる出力アップも期待できる。

研究成果をZEVに適用すれば車両の軽量化、およびそれに伴うエネルギー効率の向上が見込めるという。研究グループが開発した技術による、回転角度センサは、小型であるため、近い将来の自動車への貢献に留まらず、医療機器や産業用ロボットなどへの展開も大いに望めるとのことだ。