IDCではDevOpsについて、「企業や組織がビジネスのスピード、品質、競争力などのケイパビリティを高めることを目標とし、複数のチームや担当者が共同でアプリケーションの開発から運用までのライフサイクルを効率化するための方法を取り入れ、それを実践すること」と定義している。
最もDevOpsの実践率が高い業種はソフトウェア/システム開発業(ソフトウェアベンダー、システムインテグレーター)で37.4%、次に通信/サービスプロバイダー業(通信、クラウドサービス、インターネットコンテンツプロバイダー、メディア)で32.2%となり、IT関連企業がDevOpsの実践を牽引している。
IT関連企業以外の中では金融業で実践率が最も高く28.3%となった。金融ではFinTechビジネスの開発が加速しており、FinTech向けWeb/モバイルアプリケーションについてDevOpsに取り組む企業が増加しているとみられる。
DevOpsを実践している企業の51.1%はDevOps環境の構築にパブリッククラウドサービスを使用していた。その中で主に使用されているクラウドサービスは「Microsoft Azure」(使用率43.2%)、「Amazon Web Services」(同39.2%)、「Google Cloud Platform」(同25.7%)、「IBM Cloud」(同20.3%)になった。
DevOps環境にDockerやKubernetesなどのコンテナ技術を使用している企業は86.2%になった。主に開発環境とテスト環境で採用されている。この結果から、DevOps環境ではコンテナ技術の活用が欠かせない存在になっていることが分かったとしている。
DevOpsを実践している企業に対して、現時点でDevOpsによるビジネス成果がどの程度出ているかについて質問したところ、「期待以上に大きなビジネス成果が出ている」が11.7%、「期待通りのビジネス成果が出ている」が29.7%になり、それらを合計した41.4%の企業がDevOps実践によるビジネス成果が出ていることが分かった。さらにビジネス成果を出している企業の30%以上が「DevOpsサイクルの内製化」「DevOpsエンジニアの獲得/育成」「DevOpsに対するビジネス部門の理解/協力」が成果を出すためには重要であることとして挙げていた。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷 光浩氏は「DevOpsを実践する企業は拡大しているが、ビジネス成果につながっている企業はまだ半数にも満たない。成果を出していくためにはツールや技術の活用だけではなく、人材、組織、文化、プロセスをDevOpsに適合させていくことが重要である。これからDevOpsに取り組もうとしている企業や組織は、実践前にそうした点を確認しながら進めていく必要がある」と述べている。