パイオニアと東京海洋大学、自動運行船の実用化に向けた共同研究

パイオニアと東京海洋大学は、3D-LiDARセンサーを活用した船舶の自動化に関する共同研究契約を締結した。将来の自動運航船の実用化に向けて、船舶における3D-LiDARセンサーを用いた自船位置推定技術、周辺環境認識技術の確立と検証を行う。


昨今、世界の各地域で自動車の自動運転に関する技術開発が行われる中、地球の約7割を占める海や河川など水上の移動手段である船舶についても、自動化の取り組みおよび国際基準の整備が進められている。

今回の共同研究は、パイオニアと東京海洋大学 学術研究院が連携し、将来の自動運航船の実用化に向けた取り組み。パイオニアは、自社の3D-LiDARセンサーでのデータ収集、自船位置推定、周辺環境認識アルゴリズムを開発する。東京海洋大学は、研究開発を実施するための船舶実験環境の提供、船舶運航に関する知見に基づく自船位置推定、周辺環境認識アルゴリズムを検証する。

東京海洋大学では、小型自動運航船による都市型水上交通システムの実現を目指し、遠隔と自律操船を実現するための自動離着桟技術を含む船舶自動制御システムの開発を行うとともに、これを実現するための各種センサー技術、無線通信技術、推進システムのメンテナンスフリー化などに関する研究を行っている。

パイオニアの3D-LiDARセンサーやカーナビゲーションで培ってきた高精度な自車位置推定技術と、東京海洋大学の船舶運航に関する知見を持ち寄り、世界的に研究開発が進められている船舶の自動運航においてグローバルに活用できる技術の確立を目指す。

3D-LiDARセンサーは、レーザー光で対象物までの正確な距離を測定し、遠方や周辺の状況をリアルタイムかつ立体的に把握できるため、自動車の自動運転レベル3以上の実現に不可欠なキーデバイスと言われている。

パイオニアは、高性能で小型かつ低コストなMEMSミラー方式の3D-LiDARセンサーの開発を進めており、自動車をはじめ幅広い用途向けに提案を行っている。

船舶の自動化は、人為的要因による海難事故の抑止とともに、海運事業における労働環境の改善、生産性向上にも大きく貢献すると期待されていて、主要な海運先進国では様々な取り組みが進められている。日本においても2018年6月、国土交通省が自動運航船の実用化に向けたロードマップを作成しており、2025年以降の普及に向けて様々な検討、検証が行われている。