「ドックに入った貨物船内をドローンにて空撮、船級検査へ」

第5期科学技術基本計画において、この国がめざすべき未来社会の姿として提唱された。「超スマート社会(Society5.0)」では、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」やAI(人工知能)技術、無人航空機ドローンや自律走行車などの活用によって、様々な課題が解決されるという。


内閣府の「ソサエティ5.0」広報サイトでは、たとえばドローンについて、「モノの運搬、測量、災害救助まで、世界中で実用化が進みつつあるドローン。野を越え、山を越え、みんなの想いや希望を乗せてやがてアナタの住む町にも。」と紹介している。現在、日本政府は「働き方改革」の旗を振っていて、企業・団体、官公庁などの組織は、先進デジタル技術等を用いた各種変革、業務の効率化や生産性の向上に取り組んでいる。

12月20日、商船三井は同社運航の石炭船が和歌山県のMES-KHI由良ドックに入渠した際、日本海事協会、日立システムズ、三井物産とともに、ドローンを活用した船級検査(船舶の設計、建造、性能、設備、保守に関して旗国政府に代わり船級協会が証書を発給する)の実証実験を行ったことを公表した。

DJI社製MATRICE210およびFlyAbility社製ELIOSを飛ばして、ドローン空撮によるカーゴホールド(船倉)、バラストタンク(貨物非積載時に安定を保つため海水を入れておく庫)内の模擬船舶検査が行われた。就航船での実験により、発錆や腐食の状況、および亀裂の有無を検査する上でのドローンの有効性について検証したという。

これまで入渠時には足場を組んで、船級協会による目視検査や船主・船舶管理会社による保守点検作業等を行っていた。高所・危険区域において、ドローンを活用することにより、業務の安全性向上や効率化への貢献が期待できるという。商船三井はこれからも、急速に進化しつつあるドローンの海運産業における可能性を追求していく構えだ。