太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギー源の活用が進む現在、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術等を用いて、業務用・家庭用蓄電池や電気自動車(EV)など、需要家側の小規模電源を束ねて仮想発電所(VPP)とする研究開発も加速している。
VPPにおいては課題もある。自然が相手の再エネ電源では需給バランスを取りつつその出力量を安定させねばならず、たとえばEVをVPP網に加えると、車が本来の役割に使われるときに需給バランスの調整が必要になる。そのほかの蓄電池を束ねて送配電する際にも、電力系統の安定に向けた周波数制御が求められる。(VPP:経済産業省資源エネルギー庁ウェブサイト参照)
そこで、多数の需要家蓄電池を遠隔よりリアルタイムで制御する独自技術(階層協調制御方式・仮想統合制御技術)の研究開発を進めているNECは、関西VPPプロジェクト(PDF資料)などに取り組んでいる関西電力にて――1月7日より実施される需要家蓄電池を活用した周波数制御技術に関する実証試験用システムに――同技術が採用されることを発表した。
NECの独自技術は1万台規模の需要家蓄電池を遠隔から高速監視制御し、電力系統の安定化に寄与する「周波数制御」と蓄電池本来の「利便性(エネルギーマネジメント、BCP対策等)」とをまとめて実現する"同時マルチユース"を具現化するものであり、今回、関西電力の実証試験では複数タイプの需要家蓄電池を秒単位で充放電制御し、システムからの指令に対する蓄電池の応動時間や制御精度を検証する。
それにより電力系統における周期の短い負荷変動に対する蓄電池の応答性能を確認するという。NECは、上記試験の結果を踏まえ、'19年度以降の実用化に向けた技術の確立をめざす。再生エネ導入における電力系統安定化への貢献と同時に、需要家側の利便性を確保したまま蓄電池の価値向上を実現していく構えだ。