社会インフラの運用監視にAIを活用、NECが新技術を開発

NECは、センサーなどから収集された時系列データを分析し、検索可能にすることで、迅速・高精度なシステムの状態判別を実現するAI技術「時系列データ モデルフリー分析技術」を開発した。プラントや道路・橋梁、鉄道・自動車など、社会インフラの運用監視に適用することで、異常検知、障害診断、故障予測が可能になる。


この技術は、プラントなどの社会インフラ設備に設置されたセンサーなどから収集・蓄積されたデータを用いて、現在の状態(正常・異常・異常の前兆動作)を迅速かつ高精度に判断する。

具体的には、最初に収集・蓄積されたデータをディープラーニングで学習することで、特徴抽出エンジンを自動生成。このエンジンを使い、アナログデータとして収集したセンサーデータからデータ容量のコンパクトなバイナリデータに変換する。データに内在する特徴的な動きを学習することで、類似したバイナリデータを検索するだけで、現在の状態に類似した過去の状態を見つけることが可能になる。例えば、システムの運用監視へ適用した場合は、異常の検知や、障害診断、異常の前兆動作から故障予測ができる。

NECによると、現在のシステムや設備などの運用監視は、数式などを用いて対象から得られるデータをモデル化し、システムがモデル通りに稼働しているかを判断する方式が大半だった。しかし、この方式ではモデルの構築・検証・評価(チューニング)に時間と手間がかかっていたという。

今回開発した技術では、対象から得られるデータをモデル化せずに、データの時間的な変化やデータ間の関係を特徴として抽出し、バイナリデータに変換して、その比較で対象の状態を判断する新しい方式を採用。時系列データによる運用監視において、監視員が経験的に行っているデータの特徴点の発見と同様のことを、AIで実現する。

また、少量データしかない早期の段階から活用可能で、運用しながら精度を向上させることができます。本方式ではモデル化も不要であり、迅速に導入できるという。

NECは2019年度中に火力発電所での実用化を目指しており、実証・検証を重ねて、他の社会インフラにも適用範囲を拡大していく計画。