AI画像認識を活用した安全行動サポート技術を導入、JFEスチール

JFEスチールは、日本電気(NEC)、NECソリューションイノベータとともに、AIによる画像認識技術を、製鉄所における作業者の安全行動サポートに活用する技術を開発し、導入を決定した。製鉄所における安全推進に関するAIを活用した画像認識技術の適用は、国内業界では初の取り組みとなるという。


JFEスチールは、「安全は全てに優先する」という基本理念のもと、安全で健康な職場づくりを推進している。近年、世代交代の進行とともに作業経験の少ない若手社員が増加している中、さらなる安全な職場づくりを実現するためには最新のITを取り入れていくことが最良であると判断。最先端のAIなどを用いた画像認識技術を持つNECおよびNECソリューションイノベータのエンジンを活用した作業者の安全行動サポート技術の開発に取り組んだ。

AIによる画像認識技術を活用した「人物検知による安全リスクへの対応」などの事例は数多くあるが、製鉄所の工場内は場所によって照明条件が異なり、多種多様な装置が配置されていることに加え、作業者も様々な姿勢で作業を行うため、人物検知そのものが困難な環境だった。そこで、大量の人物画像を撮像してディープラーニングによって学習させることで、実用レベルの人物検知を実現。また、条件によって立ち入り禁止エリアが変化する特殊な工場内においても、AIが正しくエリアを認識する技術を確立した。

この技術を核として、立ち入り禁止エリアに作業者が進入してしまった場合には、AIが警報を発するとともに自動でラインを停止させるシステムを実現。このシステムは、従来人手のみで行われていた安全な職場づくりを強力にサポートする。すでにJFEスチールの知多製造所(愛知県半田市)の中径シームレス管工場に導入され、有効性が確認できたことから、2019年より全社展開する予定だ。

JFEスチールは、グローバルな競争にさらされているものづくり企業の競争力の維持・向上のために、設備・プロセス系への最新ICTの活用が必要不可欠であると考え、2017年10月に全社横断の組織として「データサイエンスプロジェクト部」を新設し、技術開発戦略の推進を図っている。今後もICT、AI、データサイエンス等を活用し、さらなる新技術の開発と実用化を進めていく計画。