小人型ロボットとプログラミング学習、教えることで学ぶモデルを実証

科学、技術、工学、数学に重点をおく「STEM教育」が日本でも注目されている。昨今、産業・社会においてはIT(情報技術)やロボティクス、AI(人工知能)技術などを活用したデジタル変革が進んでいて、小学校においては'20年度からプログラミング教育が必修化される。


文科省「教育の情報化の推進」サイトではプログラミング教育の手引などが公開されている。今月10日、この新たな教育の実施に先立ち、広島県東広島市広島大学シャープの3者は、「東広島市政策課題共同研究事業」の一環として、人のように二足歩行やコミュニケーションもできる小さなモバイル型ロボット「RoBoHoN」を活用し、プログラミング教育の実証授業を市立西条小学校で開始する。

来年3月中旬まで行う予定だという。同実証授業は、学習工学研究室を主宰する広島大学大学院工学研究科教授らが提案する「教えることによる学習」モデルに基づくものであり、学習者自身が答えを導くプロセスを自ら考えることで、「人に教えることができるレベルまで理解度を高める」ことを目指している。

授業では、東広島市が導入した「ロボホン」12体を使用し、児童は授業のテーマに従って、「ロボホン」の動作や対話を実際にプログラムする。作成したプログラムはその場ですぐに実行して、正しく組まれているかを検証可能――。ビジュアルプログラミングツールにより、ブロック型のオブジェクトを組み合わせることで簡単にプログラミングでき、楽しみながら学べる。

「ロボホン」との対話を通じて、学んだ内容や理解度を確認することも可能であり、一連の過程を通じ、「答えを導くプロセスを考え、理解」する学びを児童が身につける、と同時にプログラミング思考の育成をめざす。3者は、上記プログラミング教育の必修化を見据え、今後もコミュニケーションロボを活用した授業の場を拡げ、効果的な学習モデルの開発に取り組んでいく構えだ。