3次元の組紐構造モデルも作成・解析するソフトウェアに進化

テニスやバドミントンのラケット、ゴルフクラブのシャフトにも使われている――。2種以上の素材を組み合わせれば軽量なのに強度や応力、耐久性等の物理性能が増す、複合材料は航空宇宙や自動車など、各種産業界で重要な位置を占めていて、今後も多彩なモノへの展開が進むだろう。


繊維とプラスチックなどを複合することにより特性も大きく変化する。中でも長い繊維を円筒形に組み合わせた組紐構造の複合材は、近未来の「水素社会」(Ref.経産省資源エネルギー庁Web)における高圧水素タンク、自動車用カーボンホイール、あるいは「超スマート社会」(内閣府Web)における産業用ロボットアームなど、様々な場面での活用が期待されるという。

CTCは今月6日、炭素繊維と樹脂を組み合わせた炭素繊維複合材をはじめとした自社開発の材料解析ソフトウェア「Composites Dream」に、製造、スポーツ、医療業界などでの活用が見込まれる組紐構造ついてのモデリング機能を追加した。価格は250万円(税抜)~、3年間で150社への導入を目指す。

Composites Dreamは、数値パラメータと形状パターンを入力するだけで複合材の3次元モデルをコンピューター上に瞬時に構築し、特性の解析やシミュレーションを行うソフトウェアであり、織物構造や組物構造、縫合構造など様々なモデルを取り扱うことができる。そして今回、ここに追加した組紐構造の3次元モデル作成機能では、引張り・曲げ・圧縮・ねじりなどの外力に対して、構造や材料の違いが強度・損傷状態などにもたらす変化の模擬実験が可能となる。

同ソフトウェアは、マクロ・メゾ・ミクロの異なるスケールレベルでの解析を重ね合わせてモデル化するため、組紐構造の複合材に対しても精度の高い解析を実現。そのモデル作成は、複合材以外でも医療用カテーテルや電線・ケーブルなどへの活用が見込めるという。