パスワードのない世界の実現へ、ヤフーが生体認証標準化団体のボードメンバーに

ヤフーは、生体認証などの次世代認証の標準化を提唱する業界団体「FIDO(ファイド)アライアンス」のボードメンバーに加盟したことを発表した。世界各国の企業が加盟するFIDOアライアンスにおいて、運営の中枢であるボードメンバーは世界で34社を数え、国内では3社目の加盟になるという。


「高速なオンラインID認証」を意味するFIDO(Fast IDentity Online)アライアンスは、セキュリティと利便性の両立を目指すため、2013年2月に正式に発足したグローバルな非営利団体。堅牢な認証技術に相互運用性が確保されていない状況を改善し、ユーザーが多くのIDとパスワードを覚えなければならないという煩わしさを解消することを目的としている。

FIDOアライアンスは、認証におけるパスワード依存を軽減するために、オープンで拡張性と相互運用性のあるシンプルで堅牢な「FIDO認証」を標準化することで、オンラインサービスの本質に変革をもたらすことを目指している。

ヤフーは、2014年にスポンサーメンバーとしてFIDOアライアンスに加盟以来、技術仕様の策定に参加し、認証技術の実装方法の検討を進めてきた。2018年9月にはWebブラウザを対象とした新たなウェブ認証の規格である「FIDO2」の認定を国内で初めて取得し、10月にYahoo! JAPAN IDのログイン手段として機能提供を開始した。

現在は、Androidの代表的なWebブラウザである「Google Chrome」上で、指紋によるログインを利用できる。また自社サービスへの技術導入に加えて、技術に関する講演の実施や、2016年に発足した「FIDO Japan Working Group」には副座長として参画し、FIDO認証の普及に取り組んでいる。

ヤフーは、新たにボードメンバーに加盟することで、今後FIDOアライアンスの戦略策定や作業部会(ワーキンググループ)での成果物などの文書公開に関する投票権が得られる。FIDOアライアンスの運営にこれまで以上に深く関わることで、パスワードレスな世界の実現に、より一層貢献していく考え。