製造・物流現場でのAIによる交渉で業務効率を向上


日本電気(NEC)は、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」の研究開発項目「AI間連携基盤技術」に関する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業に採択されたことを発表した。「AI間連携によるバリューチェーンの効率化・柔軟化」をテーマとして研究開発を行う。


このプロジェクトは、沖電気工業(OKI)、東京農工大学、豊田通商、東京大学、中央大学、名古屋工業大学、産業技術総合研究所などと共同で実施する。

社会の様々な分野でAI活用が進展すると、システムでは対応できない利害調整の必要が生じてくる。しかし、そこにAI間連携技術を適用することで、大きな価値を創造することができる。

例えば、バリューチェーン上で製造システムや物流システムを稼働させている各企業がそれぞれエージェントとなるAIを持ち、これらのAIが協調・連携動作を行うことで、発注者と受注者の双方にとってメリットとなる取引相手・取引条件がすみやかに発見できるようになる。これにより、各企業の利益を増大しつつ、企業間取引の社会全体における効率化・柔軟化を並行して実現できる。

今回の研究開発では、AIが交渉プラットフォームを介して、数百・数千という企業の中からの取引先候補の探索と、発注者と受注者の双方が合意できる価格や納期の探索を行うことを想定。取引条件の探索は、標準化されたプロトコル、データ形式、語彙定義を用いて、相互に取引条件案の提示と受諾可否の回答、すなわち「交渉」を行うことで実行される。

双方合意できる条件が発見できた場合は、契約するかどうかの最終判断を人間であるユーザーに仰ぐ。成立した契約は製造現場や物流現場で履行される。

研究開発では、AI間連携の社会実装に必要な原理や基盤、制度、業務システムとの統合技術や各種プロトコル、リファレンスアーキテクチャなどを開発する。また、提案者以外の企業や団体にもアドバイザーとして参加してもらい、ユースケースのターゲティングや詳細化を行っていく。さらに、研究開発成果の普及促進のために、国際的な標準化やマーケットプレイスの構築などに取り組む。

NEC、OKI、東京農工大学、豊田通商、東京大学 大学院情報理工学系研究科は、2018年度から2022年度までこの研究開発に共同で取り組む。これによりAI間連携によるバリューチェーンの効率化・柔軟化を実現し、日本の産業競争力強化に資することを目指す。