富士通エフサスは、福島県と、同県内の繁殖農家の営農再開を支援するための実証実験を開始した。ICTの活用により、繁殖和牛の個体情報を一元管理して遠隔地からの農場管理を可能にすることが目的だ。
福島県では、東日本大震災やそれに伴う原発事故の影響で、避難された住民の帰還が進まず、畜産業における従事者の担い手不足や飼養頭数の大幅減少といった課題を抱えている。これらの課題を解決するため、富士通エフサスはICTを活用して福島県内の営農再開を支援する実証研究を行い、その有効性を検証する。
実証実験では、県内有数の畜産地帯であった阿武隈地域の農場において、発情監視装置、分娩監視装置、個体監視装置などのICT機器を導入。各装置と繁殖和牛の個体情報の連携と装置から収集したデータの蓄積・分析を行う「個体一元管理システム」を構築した。
これにより、農業従事者のシステム操作の負担軽減を図りながら、蓄積したデータに基づく飼養管理や遠隔地からの繁殖和牛管理の実現性を検証する。
同社によると、本実証実験が成功すれば、より正確な発情発見による繁殖成績の向上や分娩予知による事故の防止、疾病の早期発見による損耗防止が見込まれるという。特に、大規模繁殖農場経営体の育成や収益性の大幅な向上が期待される。
さらに、遠隔地からでもスマートフォンやタブレット端末を用いて農場管理が可能になることで、農業従事者の負担軽減が図れ、担い手の減少傾向にも歯止めをかける可能性があるという。