マルチメディアで災害情報、自治体が住民に直接届ける

911米国同時多発テロと、その後わが国で発生した武装不審船事案をきっかけに、日本国内には国民保護のしくみが導入された。弾道ミサイル情報、緊急地震速報、津波警報などを、緊急速報メール、市町村防災行政無線等により、国から住民まで瞬時に伝達する。


全国瞬時警報システム「Jアラート」(参照:消防庁Web)のほかに現在、地方公共団体・ライフライン事業者等が、災害発生時に放送局・アプリ事業者等の多様なメディアを通じて地域住民等へ必要な情報を迅速かつ効率的に伝達する共通基盤「Lアラート」(同:総務省Web)も運用されている。が、全国津々浦々に防災行政無線が整備されているわけではない。

「花のまち」福島県喜多方市では、平成の市町村合併により、アナログ系防災行政無線整備地区(熱塩加納・山都・高郷)と、未整備地区(喜多方・塩川)との行政サービス不均衡が生じていた。この課題に対して、同市は、全国に先駆けてV-Low対応防災ラジオの大規模導入を決定。'18年11月15日から「V-Low災害情報連携システム」による防災ラジオへの緊急情報の配信を開始した。

センター設備、庁舎設備、配信先設備で構成される同システムは、その構築業務を受託したNTTデータ東北が昨年6月から開発――。東京マルチメディア放送提供の新放送サービス「i-dio®」の電波を使って、自治体が災害情報を直接住民に届けられる「V-ALERT®」を活用し、防災ラジオや屋外拡声子局に情報配信できる、新しいしくみだという。

複数の伝送路、メ報連携システムの本格運用を12月1日から始めた同市では、コミュニティFM放送、喜多方市HP、SNS(Facebook、Twitter)、登録制メール、L-ALERT、緊急速報メールへの情報配信も実現している。