植物の光合成速度推定方法を開発、東北大と国立環境研究所

東北大学大学院生命科学研究科の彦坂幸毅教授、国立環境研究所の野田響主任研究員は、葉1枚での実験を通じて、リモートセンシングによって観測可能な光学データから植物の光合成速度を高精度で推定する新しい手法を開発した。


光学的指標による光合成量の推定は、これまでも多くの先行研究がある、今回の研究で開発した手法は、光合成の際のクロロフィル蛍光及び熱放散の指標を用いており、生化学的なメカニズムに基づく新しいもの。

光合成は、植物が光エネルギーを利用してCO2を吸収し炭水化物を合成する反応。より大きいスケールでは、光合成速度は陸上生態系がCO2を吸収する量や、農作物の成長量・収量を決定するという。

今回の研究で開発した手法は、地球スケールで人工衛星により観測される光学指標に応用することが可能。今後は、この手法を用いて、2018年10月29日に打ち上げられた日本の新しい人工衛星「いぶき2号」が観測するクロロフィル蛍光データから陸上生態系のCO2吸収量を推定することを予定している。これにより、将来的に植物のCO2吸収量を広域で把握することが可能になり、パリ協定の実施に対する貢献も期待されるという

論文は国際誌『Plant, Cell and Environment』電子版に掲載された。また、文部科学省科学研究費補助金、国立環境研究所「GOSAT-2プロジェクト」の支援を受けて行われた。