新たな観光体験の創出に向けて超高精細ライブ映像伝送に成功

NTTドコモ(ドコモ)と東武鉄道は、2018年11月に栃木県日光市の東武鬼怒川線で運行している「SL大樹」において、4.5GHz帯および28GHz帯の両周波数帯における第5世代移動通信方式(5G)を用いた映像伝送試験に成功したことを発表した。


日本の社会構造の変化などによって地方創生に向けた動きが進む中、次世代のICT基盤インフラとして期待される5Gの研究開発を進めるドコモと、日光・鬼怒川エリアの活性化策として2017年SL運転を復活させた東武鉄道が協力し、5Gを活用した観光地における新たな観光コンテンツ創出を目指した実証試験を実施した。

具体的には、東武鬼怒川線沿いの鬼怒川橋梁付近に5G通信エリアを構築し、SLが5G通信エリアを通過する間に、橋梁から8Kカムコーダーで撮影したSLのライブ映像を客車に向けて5Gで伝送した。これにより、将来的にSLに乗車しているユーザーに対して、乗車中の客車を力強く牽引するSLの勇姿を超高精細ライブ映像で楽しむ新観光体験の実現に寄与するもの。

また、4K映像コンテンツ配信システムを用いて、SLが同5G通信エリアを通過する間に、多数の4K映像ファイルを客車内へ一括伝送し、複数のスマートフォンやノートPCに対して配信する試験にも成功した。

今回の試験を通して、東武鉄道に約半世紀ぶりの復活を遂げたSLと最先端のICT技術である5Gを融合させることが「鉄道産業文化遺産」であるSLの乗車体験をより印象的な観光体験として提供できることを実証。観光分野の発展に寄与できることを確認した。

この試験は、ドコモが実施主体となり総務省から請け負った2018年度5G総合実証試験「屋外において平均4-8Gbpsの超高速通信を可能とする5Gシステムの技術的条件等に関する調査検討」として実施した。

その結果、鬼怒川橋梁付近を走行する約200メートルの区間において「8Kライブ映像伝送試験」「4K映像コンテンツ配信試験」「無線伝送スループット測定試験」を行い、4.5GHz帯および28GHz帯の両5G装置で試験に成功したという。