20年のバッテリ寿命も可能に、ルネサスが超低消費電力MCUを発表

ルネサス エレクトロニクス(ルネサス)は、「Renesas Synergy」のS1マイクロコントローラ(MCU)シリーズに、新たに「S1JA MCUグループ」を加えて量産出荷を開始したことを発表した。


超低消費電力のS1JAグループは「48 MHz Arm Cortex-M23コア」を搭載し、高度に設定可能なアナログ機能およびセキュリティ機能を統合することで、高精度なアナログ計測とアナログ信号整形処理を可能にする。S1JAグループは、コストを重視した低消費電力な産業IoT(IIoT)向けのフロー制御メーター、マルチセンサーシステム、計装システム、単相電力量計などのセンサー用途に最適だとルネサスは説明する。

S1JAグループには5種類のMCUが含まれており、最大256KBのフラッシュメモリと最大32KBのSRAMメモリ、動作電圧範囲は1.6Vから5.5Vに対応。また、外部センサーに正確な電力を供給するセンサバイアスユニットに加え、高度に設定可能なアナログ機能を内蔵している。複雑なアルゴリズムを処理する信号整形処理や、正確なアナログ計測が可能だ。

また、S1JAは、基本的機能からより複雑なアナログブロックにいたるまで、高度なアナログ設定を可能にする。この結果、組み込み機器の設計において、複数の外付けアナログ部品が不要となり、部品コストが削減でき、基板サイズも縮小できる。CTU(Cap Touch Unit)を内蔵しており、静電容量式タッチキーのHMIインタフェースも開発可能。さらにS1JAのメモリミラー機能により、ソフトウェアのオーバーヘッドがほとんどなくてもOTA(Over The Air)更新が行えるという。

S1JAは消費電力が極めて少ないため、バッテリ駆動のポータブル機器やバッテリ・バックアップ用途で電池寿命を延長できる。ソフトウェアスタンバイモードは消費電流が500nAと、スリープモードで長時間スタンバイする機器では20年のバッテリ寿命も可能にするという。