近年、金融システムとIT(情報技術)を融合させた"フィンテック"が注目されている。日本では、「貯蓄から投資へ」とか「貯蓄から資産形成」といった政府方針が10年以上前から示されていて、ようやく投資信託が広く認知され始めた一方で、労働生産性の低さが指摘されている。
日本生産性本部の「労働生産性の国際比較」によると、日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟35ヵ国中20位。1人当たり労働生産性は21位。製造業におけるそれは主要国中14位だという、状況は他業界でも同様だと推察される。何よりも信用第一であり、多少の計算ミスなら損金計上してしまう他国の金融機関などとは明らかに異なる、日本の金融機関が少子高齢化時代に生産性を上げるためには、先進技術が要る。
11月26日、富士通は、ゆうちょ銀行でこれまで行員が人手で行っていた投資信託の口座開設業務において、OCR(光学文字認識)およびRPA(ロボティックプロセスオートメーション)による業務自動化システムを開発――同銀行は今年9月よりこのシステムの運用を開始し、このほど業務時間を3分の1に短縮できることを確認した、と発表した。
同システムは、顧客から紙で届く口座開設申込書を富士通グループPFU社の高精度OCRソフトウェア「DynaEye」で読み取り、富士通パートナーのRPAソフトウェア「Kapow」で申込内容の確認や口座開設の作業を実施する。OCRで読み取った情報と、普通口座の顧客情報を登録処理し、内容にミスがないかを突き合わせて確認し、その後、投資信託システムへの入力や、完了通知を行うところまでを一貫してRPAで実施し、正確性の向上や大幅な時間短縮を実現する。
今回、口座開設にかかる時間を1/3にして、行員の負荷軽減と効率化を実現した。富士通は、RPA導入による業務効率化を推進することによって、金融機関の顧客サービスの向上を支援していく構えだ。