少子高齢化を背景に生産年齢人口の減少が各方面で深刻になりつつある。日本では鉄道業界においても、人手不足の課題が顕在化している。一方で駅利用客のニーズは多様化していて、より安心・安全・快適で利用しやすい駅の提供が求められているという。
オムロン傘下で社会システム事業を担うOSS社は、「未来の駅」を具現化するため、都営地下鉄大江戸線の大門駅にて自律走行する警備ロボットの実証を始めると発表。これに続いて11月26日、こんどは駅業務の中でも負荷の高い「駅窓口業務」の自動化に向け、相模鉄道提供の「相鉄線アプリ」に対話型AI「チャットボット」を導入し12月13日より試験運用を開始するとした。
駅業務に特化したAIを搭載し、スマホで自動回答する。同チャットボットは、利用客の質問から要素の過不足を判断し不足事項の確認を対話相手に行い、適切な情報を提供する。ディープラーニング(深層学習)技術と自然言語処理を用い、利用客ごとの表現の違いを自動補正し類義語に分類することで自然な会話も実現する。表現の違いで意味を理解できず回答できないといったことがない。
今回のチャットボットによる駅窓口業務の省力化効果を検証するとともに、利用客からの質問とチャットボットの回答内容の精度を分析し、改善プロセスを通じて駅業務特化型AIの技術向上を目指すという。同社は1967年に世界初の無人駅システムを実現して以来、鉄道業界において自動改札機、券売機、精算機などの駅務機器システムや遠隔監視サービス、安全システムなど駅運営に携わるシステムを提供し、運用サポートを行っている。
50年の歴史で培った駅業務のオートメーション技術と遠隔監視技術、運営ノウハウに加え、オムロングループが持つ「センシング&コントロール+Think」のコア技術を活かし、駅業務の省力化や、利用客の多様なニーズを充足する。今回の取り組みも「未来の駅」の端緒となる。