高速道路における自動車の逆走は、死傷事故となる割合が4倍、死亡事故40倍となる、非常に危険な事案である。全国の高速道路では2日に1回の頻度で逆走が起こっていて、年間40件の事故が発生しているという。
国土交通省では、「2020年までに高速道路での逆走事故をゼロに」する取り組みを推進中であり、この方針を受けて、NEXCO東日本・中日本・西日本の3社が逆走対策技術を募集――。これまで逆走を防ぐ各種施策が行われてきたが、発生件数は横ばいであり、逆走が起きた場合にそれを当該ドライバーに気づかせたり、他のドライバーに知らせたりする信頼性の高い検知システムが求められていたという。
古河電工は、車載カメラやレーダ、各種センサ等によって自動ブレーキや自動駐車、歩行者等の回避や走行車線キープなどを行う先進運転支援システム(ADAS)用として量産している「24GHz周辺監視レーダ」技術を応用して、高速道路での逆走による事故の未然防止に貢献する「逆走検知システム」を開発した。
移動体の位置、移動方向と移動速度を一定時間検出追跡することで逆走車かどうか判定する。準ミリ波レーダを用いた同システムは、ノイズや飛来物などの誤検知要因の影響を受けにくい設計になっていて、昼・夜・逆光などの日射の影響を受けない。雪/雨/霧の影響を受けにくいため、様々な屋外環境下で安定した検知が期待できる。レーダは道路脇のポール等に取り付け可能で、車線規制を伴う道路上での作業を削減できるという。
同社は平成29年3月にNEXCO3社による「高速道路における逆走対策技術の公募/テーマ[Ⅱ]道路側で逆走を発見し、その情報を収集する技術」で選定され、実道路において各種天候下で昼夜の検証を行い、高いレベルでの検知率を実現した。「逆走検知システム」を今年11月28・29日、東京ビッグサイトで開催されるハイウェイテクノフェア2018に出展する。