救急車の最適運用システム、ビッグデータ分析技術等を用いて実現へ

救急車による傷病者の搬送において、1996年からの20年間に現場到着所要時間は全国平均で6.0分から8.5分へ、病院収容所要時間は全国平均で24.4分から39.3分へ延伸していて、社会的な課題になっているという。


消防庁消防大学校の消防研究センターは、これまで上記課題の解決に向けて、各所要時間を短縮するしくみ即ち、救急ビッグデータ、全地球測位システム(GPS)と地理情報システム(GIS)によるG空間情報等を活用した救急車の最適運用システムの研究開発を行ってきた。そして11月26日、NTTおよびNTTデータとともに、2021年3月まで、救急ビッグデータを用いた救急車運用高度化の共同研究を行うことを公表した。

3者は今年2月から同研究を実施していて、119番通報を受けてからの現場到着時間・病院収容時間の短縮を目的に、救急搬送情報、およびG空間情報やモバイル空間統計等のビッグデータと、消防研究センターおよび消防機関における運用ノウハウ、NTTグループのビッグデータ分析・学習・価値化技術を活用――。シミュレーションを通して有効性を確認した救急車の最適運用システムについて、今冬以降に実証実験を予定している。

救急隊の基本的な業務フローにおいて、現場到着までの時間と搬送先決定に関する時間を短縮する技術と、医療機関搬送時の安全性確保の技術に関する研究開発を次の3テーマで行い、実装の可能性を検証するという。

1. 救急隊最適配置(協力機関:名古屋市消防局)
2. 搬送先医療機関の受入可能性を予測(協力機関:仙台市消防局)
3. 安全搬送に適したルート提示(協力機関:藤沢市消防局)

予測精度のさらなる向上とともに、フィールド実証向け運用システムの構築を進める(テーマ1:12月から、テーマ2・3:来年度以降)。実証実験への適用をめざすシステムの内容は11月29・30日、NTT R&Dフォーラムで展示予定だ。