第5期科学技術基本計画において、「超スマート社会(Society5.0)」のサービスプラットフォーム技術としてAIやIoTなど、そして新たな価値創出のコアとなる得意技術としてバイオやナノテク、ロボットなどを挙げている日本――。対岸の中華人民共和国は、「中国製造2025」を推進している。
ものづくり革新で競い合う、日本と中国における産業用ロボット利用動向について、IT専門調査会社のIDC Japanは20日、「IDC's Worldwide Robotics Survey, 2018」を基に比較分析した調査結果を発表した。
産業用ロボットサプライヤーの認知度――最初に思い浮かぶ企業を尋ねたところ、日本ではファナックと安川電機が上位に挙がった。'70年以降、自動車や電機電子部品の製造現場を中心に数多く導入されていることが、この結果につながっていると考えられる。一方、中国では21.7%の回答者がABBを挙げ、パナソニックが上位に位置している。
ABBは'90年以降、産業用ロボットの現地生産から販売までを行うサプライチェーンを構築。'15年に双腕型協働ロボットYuMiを発売するなど、製造現場の需要を適切に把握することで中国市場を牽引してきたことが背景にある。また、パナソニックは'00年以降、溶接ロボットの現地生産および技術者の積極的な養成によって販売を加速し、市場の認知度を高めたとIDCではみている。
ほかに、「日本の製造業は、産業用ロボット導入事業者にロボットの選定、カスタマイズ、導入までを期待するが、中国は、用途別に必要機能を満たす産業用ロボットが調達できることを重視する傾向」、「中国市場における現地サプライヤーとの競争に対して、日本国内の産業用ロボットサプライヤーはITを活用したロボット間連携等に取り組むことが重要」といったこともわかる。調査の詳細はこのIDCレポートで確認できる。