鉄道電気設備の保守管理にAIを活用、東急電鉄が実証実験

東京急行電鉄(東急電鉄)と米FRACTAは、鉄道電気設備の保守管理の質的向上・障害発生時の対応力の向上を目的とした、AI(人工知能)を活用した実証実験に着手したことを発表した。


東急電鉄は、2018年3月に発表した中期3カ年経営計画の重点施策の1つとして、「『安全』『安心』『快適』のたゆまぬ追求」を掲げ、様々な施策を推進している。その一環として、鉄道電気設備の検査方法・頻度の見直し、強化による、鉄道障害の低減や障害時の早期復旧に重点的に取り組んでいる。

これまでの鉄道電気設備は、定期的な検査で予防保全を行う手法が主流だったが、障害発生の予測は難しく、効果的な未然防止策の確立が課題だった。今回の実証実験では、AIを活用した水道配管の故障予測手法を確立し、複数の米国水道会社に対して、AIを用いたソフトウェア・サービス(SaaS)を提供しているFRACTAの技術を活用する。

鉄道電気設備の電圧・電流値などについて、これまで当社が蓄積した検査データの統計手法による分析や、常時計測データなどの監視の高度化により、障害予防に有効と思われる重要ポイントを推定する。これにより検査・更新周期を適正化し、保守管理業務の質的向上を図るとともに、設備障害に関する知見や対応力の向上を図る。

今後は2018年内を目途に、実証実験対象となる信号・変電などの鉄道電気設備の詳細を決定し、各種データの収集・分析を通じて、2019年末ごろまでに鉄道電気設備障害に関するアルゴリズムを構築する。その後、一定期間の実務検証を通じて、アルゴリズムの有効性が検証できた場合は、東急電鉄の鉄道保守の新技術として鉄道電気設備以外へ展開するとともに、中期経営計画の重点施策の1つである「戦略的アライアンスによる事業拡大」に定めた「新たなビジネス分野、ビジネスモデルの探索」を具現化する取り組みとして事業化を視野に入れ、さらに検討を進めていく計画。