生き生きした表情をする、アンドロイドと話せる日は近い

SFなどに登場する、人間そっくりに作られたロボット(日本国語大辞典より)。アンドロイドはいま、物語の世界を飛び出して、実社会で活躍し始めている。会社などの受付や旅行案内担当、イベントのMCやエンターテイナー、あるいは高齢者の話し相手として――。


アンドロイドの表情は変形後の最終的な形の違いによって作り分けられてきた。例えば最終的に同じ笑顔の表情に至る場合でも、一定の速さの変化もあれば、ある程度までは早くてその後遅くなる変化など、様々な変化の過程があり得る。従来のアンドロイドでは表面の変形を精密に操ることができず、変化の過程に意味や感情などごくわずかでありながら相当に違うと感じる「ニュアンス」を載せて、表情に幅を持たせられなかったという。

大阪大学大学院工学研究科の石原尚助教および浅田稔教授(創発ロボティクス研究室)らの研究グループは、アンドロイドの顔表面に多数の三次元位置計測(モーションキャプチャ)用マーカを貼り付け、各内部機構の動きに伴う表面の動きを精密に計測し、表面の操りやすさと変形の特性を機構毎に評価した。そして、笑顔の表現に適した機構の内、最も操りやすい機構を選別し、各機構に対して表面の変形の特性を考慮に入れた制御器を設けることで、無表情から笑顔に至る複数パターンを作り分けることに成功した。

人とロボットの触れ合いの中で豊かな情報が交わされ、その触れ合い情報を利活用できる社会の実現を目指して、子供型アンドロイドAffetto(アフェット)の開発を進めてきた。同研究グループが今回初披露した頭部は、エーラボ社の技術協力を受けて新開発したものであり、見た目の質感だけでなく、内部機構の自由度数や動きの再現性の点でも、'11年に発表したものより性能が向上しているという。

アンドロイドの表情は、柔らかい顔被覆の内部に搭載された機構の動きを操ることで作り出される。笑顔の表現に最も適した3つの機構それぞれに対して表面の変形の特性を考慮に入れた制御器を設けることで、無表情から笑顔に至る5パターンの表情の変化を作り分けることに成功した。今回の成果により、ぱっと開く笑顔や恐る恐る出す笑顔など、ニュアンスを含んだ生き生きとした表情をアンドロイドで表現できるようになることが期待される。

研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(さきがけ)「新しい社会システムデザインに向けた情報基盤技術の創出」における研究課題「触れ合いデータを収集する子供アンドロイド高機能化(JPMJPR1652)」、および日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業特別推進研究「神経ダイナミクスから社会的相互作用に至る過程の理解と構築による構成的発達科学(課題番号24000012)」の一環として行われ、この成果は国際論文誌「Frontiers in Robotics and AI」に掲載された。