深層学習AI、新世代エリアディテクターCTにも搭載

画像認識を得意とする人工知能(AI)は人間の脳神経回路網を模したニューラルネットワークを用いていて、昨今、さまざまな分野で従来のしくみを革新し始めている。AI技術として、深層学習(ディープラーニング)が脚光を浴びている。

今春、より低線量で高画質な画像を提供するための、ディープラーニングを用いて設計されたノイズ成分とシグナル成分を識別する処理で、分解能を維持したままノイズを選択的に除去する再構成技術を発表。ニューラルネットワークの学習にMBIR(モデルベース反復再構成)を応用した教師データを使うことで、CT装置が持つ最大限の分解能を引き出しながら、高いノイズ低減効果を短い画像再構成時間で得られるとした。

キヤノンメディカルシステムズは、上記再構成技術AiCE (Advanced Intelligent Clear-IQ Engine) を320列エリアディテクターCT Aquilion ONE /GENESIS Editionへ展開、11月12日に国内販売を開始した。

「MBIR同様、空間分解能の向上と大幅なノイズ低減効果が得られる」、「通常のMBIRでは困難だった低コントラスト領域における高いノイズ低減効果と粒状性維持効果、低線量領域での安定した画質改善効果が得られる」、「ディープニューラルネットワークを用いて複雑なモデルや繰返し演算の結果を組み込んでいるため、通常のMBIRよりも再構成が3~5倍程度速い」

AiCEを搭載した高精細CT Aquilion Precisionは世界複数施設で導入され、優れた画質改善効果とさらなる線量低減への可能性が報告されている。今回ここにAquilion ONE /GENESIS Editionも加わり、より低被ばくで高画質なCT検査がさらに広く展開されるという。両装置は、11月25日開催の第104回北米放射線学会にて紹介される。