建機パイロットロボ、体感型コックピットから遠隔操縦

少子高齢化という社会的課題を抱える日本では近年、先進技術を活用し、さまざまな現場で生産性や仕事の効率をアップする取り組みが進んでいる。国交省主導の「i-Construction」におけるICT(情報通信技術)土木・施工、建設ロボット技術などもその範疇にある。

国土が脆弱で、自然災害が多発している。その中で国際競争力を維持するには、より迅速に災害復旧する力が求められる。老朽化の進む社会資本では、保守に係る作業量が膨大で、かつ増加傾向にある。日本国における建設ロボット技術とは、「建設施工・調査の現場で用いられる機械・機器に、何らかの新しいメカニズムや制御・情報処理の機能を付加することにより、作業の支援や、自動化・遠隔制御化を実現し、効率、精度、安全などの性能向上・課題解決を可能にする」(国交省Webサイトより)

同技術領域において、カナモトは、油圧ショベルなど既存建機に搭乗させることでそれを遠隔操縦できる双腕双脚ロボットを開発し、昨年レンタルを開始。そして今年11月12日、ソフトバンクグループのアスラテックは、この人型ロボット「KanaRobo(旧称DOKA ROBO3)」向け体感型コックピットコントローラの開発に協力したことを公表した。

卓上のプロポ型や、実機ベースのコックピット型など、複数のコントローラを提供してきた、現場の利用者から掘削の感覚や衝撃を感じられるものへの要望が寄せられていて、今回新たに追加したという。体感型コックピットコントローラでは、建機の傾きや振動が運転席にフィードバックされ、より臨場感のある遠隔操縦ができる。建機の3軸ジャイロセンサ信号を受け取り、その情報を基に3軸シリンダで運転席を動かし、実際の状況を再現している。

建設機械の遠隔操縦は、災害時の危険地域など立ち入り制限場所での活躍、通常の工事現場においても人員の有効活用や作業効率アップ等が見込まれるという。