テルモと京都大学は、IoT対応ポンプを使った薬剤投与ワークフローに関する共同研究を開始した。両者は、安全性が高く、医療現場に即した手順とこれを実現する情報システムの確立を目指す。研究期間は、2018年10月から2019年3月まで。テルモは2020年度発売を目指してスマートポンプの改良に取り組む。
テルモは国内で唯一、IoTに対応した輸液システム「スマートインフュージョンシステム」(スマートポンプ)を販売。スマートポンプは、薬剤量の設定間違い防止に役立つ薬剤ライブラリ機能、業務効率化につながる病院内IT連携機能などの特徴を備えている。
一方、京都大学医学部附属病院は、医療業務の効率性・安全性の向上を目指した病院情報システムへのIoT導入を積極的に進め、IoTの臨床応用に関する知見を多く有している。
今回の研究では、注射器に貼り付けられたICタグをポンプが読み取り、自動的に薬剤名などが設定される。医療機関で発生するインシデントのうち、約2割が薬剤取り違えや投与速度設定ミスなどの薬剤投与に関するもの。日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」2017年データによると、1215施設における1万7834件のインシデントのうち、投与に関するものは2983件だった。
ポンプの投与設定を自動化することで、安全性の向上が期待される。また、京都大学医学部附属病院で本研究を実施することで、医療現場で使いやすいワークフローの検証を行うことができると説明する。