近年、台風、線上降水帯、ゲリラ豪雨などにより、大規模かつ突発的な豪雨による河川の水害が頻発している。従来から氾濫に備えて河川監視は行われており、長い河川の一部の区間を一つの水位計が監視し、観測水位から氾濫地点の水位予測をしていた。
しかし、この監視方法では、該当箇所の河川の水位がどの程度逼迫しているかを即時に把握できなかった。その対策として数多くの水位計を設置運用するには、購入・設置・維持に多額の費用がかかるという課題があった。
国土交通省は、これらの課題に対する対策として氾濫予測が必要な場所、また現状では水位予測が困難な場所に導入コストや運用コストを安価に抑えた「危機管理型水位計」を数多く設置し、水位を直接把握する観測を推進して、河川監視の充実を図ることを目指し、「危機管理型水位計の観測基準・仕様」を定めた。
OKIが開発した「危機管理型水位計」は、2017年11月に販売開始した「ゼロエナジー超音波水位計」をベースにLTE通信機能を実装し、ネットワーク接続配線工事不要でIoTクラウドとの通信を可能としている。
構造物への設置が容易な小型・軽量・一体型の形状を実現しており、太陽電池の採用により電源工事、設置費用を大幅に削減する。設置費用は同社比で5分の1となる。また、平時に観測を行わず、水位変化時のみ観測を行う方式を採用し、通信費用の大幅な削減のほか、超音波式を用いた水面非接触式観測方式による増水時の流木などの接触破損のリスク低減、ごみ除去などの費用軽減など、設置後の維持・運営費用も大幅に削減する。さらに、920MHz帯マルチホップ無線機能を「ゼロエナジー超音波水位計」同様に採用しているため、現場の機器設定、保守、情報収集を容易に行うことができる。
OKIは、頻発・激甚化する河川の氾濫による被害の軽減を目指し、超音波式「危機管理型水位計」を、河川の水害対策を推進する大型河川管轄の国土交通省をはじめ、中小河川管轄の県や地方自治体などに向けて、積極的に販売。今後3年間で3000台を目指す。