医療機関ごとに異なるデータ形式に対応する際の開発工数を削減

セゾン情報システムズは、メディカル・データ・ビジョンの提供する病院向けサービス「CADA-BOX」において、健診結果などのデータを医療機関から収集するデータ連携基盤として、データ連携ミドルウェア「DataSpider Servista」(以下、DataSpider)が採用されたことを発表した。

メディカル・データ・ビジョンは、医療機関向けの経営支援分析システムの導入や、医療機関や製薬会社向けの医療データや医薬品データの利活用サービスを提供している。日本最大級の質と量を誇る診療データベースを保有し、医療ビッグデータの収集と活用を行ってきた。

同社の提供するCADA-BOXは、患者がタブレットやスマートフォンで、電子カルテの情報や健康診断の結果などの診断情報を閲覧できるサービス。その提供に当たっては、各病院が保有する電子カルテや健康診断の結果を取り込む機能が必要となる。しかし、電子カルテのデータには「SSMIX2」と呼ばれる統一された出力フォーマットがあったものの、健康診断のデータには統一されたフォーマットがない。そのため、各病院の健診システムから Excel や CSV 形式などで出力されるデータを、CADA-BOX側で対応するデータフォーマットに変換して読み込む必要があった。

CADA-BOXは多数の医療機関で利用されることを想定したサービスであり、その都度、開発部門でシステム開発を行って、異なるデータフォーマットへの対応をすることは、作業工数の問題だけでなく、医療機関へのビジネスの展開が遅れることも意味していた。そこで、この問題をどう解決するかが、メディカル・データ・ビジョンのスピーディーな事業展開において課題となっていた。

そこで、医療機関ごとに個別対応が必要なデータを変換し取り込む処理を、運用を行う事業部門だけで開発できる仕組みを実現することで、開発部門による個別対応が不要となり、医療機関への迅速なサービス導入が可能となる体制を整えた。

データ連携ミドルウェアであるDataSpiderでは、GUI 上の操作のみでプログラムコードを書く必要がないため、事業部門側だけで異なるデータフォーマットの連携処理を作成できた。また、DataSpiderは多くのアプリケーションやデータ形式との連携にも対応しているため、今後、各医療機関から連携される様々な形式のデータを取り込む際にも、問題なく対応できることも期待できるという。

各医療機関に対しては、契約した病院ごとに専用の領域をクラウド上に用意、健診結果データを各医療機関側からCADA-BOXにアップロードし、データ利用に同意した患者のデータのみをDataSpiderにより変換する仕組みを実現している。

製品選定から本稼働までは2カ月、開発部門のリソースが空いたタイミングで開発を行い、テストも含めて1人月ほどで短期間でサービスの実装が完了するなど、DataSpiderはCADA-BOX 機能拡張の早期稼働にも貢献した。

メディカル・データ・ビジョンではこの実績を踏まえ、CADA-BOX以外のデータ連携が必要な他の業務やサービスだけでなく、手書きの問診票の電子化などOCRの活用や、RPAでのデータ投入やマスターとの突合など、自動化による業務効率化の手段としてもDataSpiderの活用を検討している。